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3月のご挨拶 ~株価絶好調、でも実業は?~
3月となりました。八王子市の公園でも、桜が咲きました。
近所の公園に、河津桜が植わっています。ソメイヨシノは白っぽい美しさですが、河津桜は、薄紅色を強く感じます。それがまた、春のエネルギーを表現しているようで、好きです。桜の種類まで昔は考えもしなかった。今は毎年、春が待ち遠しくなって、自然と、早咲きのものを好むようになりました。
1月~2月と沢山の取引先とお話をしました。私の実感では、実に80%以上の取引先が「景気が悪い」という印象です。当社の取引先は基本的に金属製品製造業、部品業ですから、自動車や各種産業、そして民生品と、色々なメーカーの動きが良くないということになります。また、口をそろえて言うのが、「先行きが見通せない」ということです。大手または有力な企業は、予算を立てて、さまざまな開発を実行します。そして部品需要を生み出すはずなのですが、その全体的な勢いが無いのでしょうか。
これと対照的なのが、景気の指標の一つである株価の推移です。
日経平均株価が前日終値から400円以上上昇、3万9500円台で推移…取引時間中の史上最高値を更新
読売新聞の報道ですが、30年ぶりに株価記録を更新し、今後も伸びていく気配です。この要因は何か。ひとつは世界情勢の影響による円安の進行で、海外生産を主とする大手企業が、為替差益により決算の数字がどんどん良くなっている事でしょう。そしてアジアの対抗馬だった中国が、不景気と報道されており、株屋が日本株を相対的に購入する量が増えている為と思います。
しかし冷静に考えてみると、良い商品が出て伸びた、公共事業が盛んになった、とか、私達が普段の生活の中で大切にしている「実業」が文章の中にほとんど感じられません。数字だけが伸びていて、その実効はまだ、これからなのでしょうか?
もうひとつ、人手不足の話題。確かに人手は足りないようですが、それはやむを得ない状況の結果論であって、未来への明るい期待ではないと感じています。というのも、上述のように仕事(需要)が活発とは思えません。だから今、受けている仕事はギリギリの人数、ギリギリの機械で回す。投資しない。それは、現場の社員の立場からすれば、あと一人いれば、もう少し機械が良ければいいのに…と思う状況だと思います。これが「人手不足」の実状と思います。需要が盛んだから、どんどん人も機械も投資する、という理想的な雰囲気は、まだ遠いように感じます。
さて、中小製造業はどこを目指せばいいか。私は、下記のようなことをいつも考えています。
① 良いもの (品質、サービス) を作り続けること (自助)
② 取引先を大切にして、お互いに助け合い、生き残る事 (共助)
③ 良いアイデアが生まれた時や、転機と思われる時を見逃さず、活かすこと
「そんな当たり前な・・・」ということばかりですが、これだけ実業と景況指数が乖離している世の中では「やれるだけのことをやる」しかないと思います。それは報われるかもしれないし、報われないかもしれない。私達の思いと関係なく、世の中が動いている。だったら動き回り、空気を揺らし、あがいてみる事だと思います。どこかにきっと乗るべき波があります。
ブログにこんな記事を書いているのも、空気を動かすための私の精一杯の「あがき」です。
冒頭に紹介した河津桜、本当にきれいでした。春を感じ、今を生きていることを幸運に思います。製造業界にも良い春が訪れますように、そして今、懸命に仕事を頑張っている人間「も」報われますように祈念して、3月ご挨拶の結びとさせていただきます。
記:代表取締役 篠原 謙介